記念誌・工事誌の作り方−1[企画構成(前編)]

大型構造物や橋梁の架設、土木工事など、大規模なプロジェクトでは、その計画段階から完成に至るまでの過程を記録した工事誌や記念誌を制作することがあります。このような書籍や資料は、単にプロジェクトの記録を残すだけでなく、関係者や地域社会にとっても貴重な財産となります。

しかし、いざ工事誌や記念誌の制作を進めようと思っても、初めて取り組む場合、何から手を付ければ良いのかわからないと悩む方も少なくありません。

そこで、このシリーズでは、工事誌や記念誌の制作プロセスについて、数回に分けて解説していきます。今回は、企画構成の前編として、基本的なイメージ作りや準備についてご紹介します。

弊社制作の「多摩川スカイブリッジ工事誌」(アズクリエイトの制作実績「Works」へ)

企画構成(前編)

1. まずはヒアリングから

工事誌や記念誌を制作する際には、まずは関係者へのヒアリングを行うことが重要です。大勢の人々が携わり、多額の予算をかけた公共工事などの大規模プロジェクトでは、工事関係者それぞれの立場からの意見や視点を反映させることが大切です。

多くの場合、「記念誌を作りたい」「工事誌を残したい」といった思いはあっても、具体的なイメージを持っている人は少ないものです。そのため、プロジェクトに精通しているキーマンや主要な関係者の意見を丁寧に吸い上げ、目的や構成を具体的な形にすることが求められます。これにより、記念誌の完成度が格段に向上します。

2. 全体のイメージを描く

ヒアリングを通じて得られた情報をもとに、どのような工事誌・記念誌にしたいかを具体的にイメージしていきます。この段階で考慮すべきポイントを以下に例示します。

  • この記念誌で何を伝えたいか
    記念誌を通じて、どのようなメッセージを伝えたいのかを明確にします。例えば、プロジェクトの意義や工事に携わった人々の努力、技術の先進性など、テーマを整理しましょう。
  • 何を目的とするか
    記念誌の目的は、資料としての記録を重視するのか、感動や共感を引き出す内容にするのか、あるいはその両方を目指すのかを考えます。
  • 後世に残す資料性の高いものにするのか
    設計図面や工事の詳細を網羅的に記録し、長期的に価値がある資料として仕上げるかどうかを検討します。
  • 工事の詳細を説明するのか
    工法や技術、数量、進捗管理など、技術的な内容を中心にした構成にするのか、それとも概要を簡潔にまとめるのかを決めます。
  • 写真をふんだんに使ったグラフィカルなものにするのか
    写真や図表を多用し、視覚的に訴求力のある誌面を目指すかどうかを検討します。
  • 記念誌のサイズや製本、紙質や体裁はどうするか
    A4やB5サイズ、ハードカバーやソフトカバー、マットな質感や光沢のある仕上げなど、製本や紙質、体裁の選択肢を考えます。これらの要素は、記念誌の印象や実用性に大きく影響するため、コンセプトに沿った選択を心掛けることが重要です。

これらのポイントを考慮しながら、記念誌全体の大まかな方向性を決定します。このプロセスを経ることで、記念誌の内容やスタイルに一貫性を持たせることができ、完成度の高いものに仕上げることが可能となります。

資料性と後世への価値を意識する

メンテナンスのサポートにも

大型構造物の場合、定期的なメンテナンスが必要です。そのため、工事誌や記念誌は、維持管理を行う際の重要な参考資料にもなります。公共インフラは、100年以上にわたって健全な状態を保つことが求められるため、設計や構造、使用された材料、工法などの記録が必要不可欠です。

歴史的な資料としての価値

工事誌や記念誌は、後世に残る資料として非常に価値を持つ場合があります。例えば、以下のような内容を記録しておくと、将来的にも高い意義を持つ資料となります。

  • なぜ、今回の工事が必要だったか、公共性や公益性について
  • どのような取り組みを行ない、どんなプロセスを経て発注に至ったか
  • 使用した工法や、検討した数量・材料についての詳細
  • 完成までの過程で発生したさまざまな出来事

これらの内容は、同様の建設事業や将来の計画の参考資料として活用されるだけでなく、当時の技術や手法を後世に伝える手がかりともなります。また、工事中の課題やその解決方法を記録することで、今後の建設事業におけるリスク管理や意思決定の助けとなるでしょう。

次回は、具体的な編集作業や資料の収集方法について解説していきます。ぜひ引き続きご覧ください!

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